無知の知

2005年4月13日
ややこしい問題ばかり。
本日、重い話題ばかりです。
 
人の自由を認めると。
自分の自由が効かなくなる。
 
 
……ただ、それだけかも知れないけど。
 
 
■ また
医師からメール。
またしても、某宗教絡みの患者が来たらしい。
 
 
1桁歳の女の子。
 
 
医師「このままだと悪化するだけ…」
 
 
確か、1年位前にも、同じ理由で男の子を亡くしている。
手術すれば助かる。
だけど、手術は「両親の信じるもの」に違反する。
それでも、両親は「子供を助けてくれ」と言う。
 
 
延命治療のみを希望され、指を咥えて、カルテを書いて。
あまりの辛さに回診の際、泣きそうになって。
それを半年繰り返して、結局、男の子は何の治療も出来ずに亡くなった。
 
何も出来ないから…と、自宅療養も勧めた。
それでも両親は「病院が良い」と言い、入院を続けた。
 
 
信じるものを捨ててまで、助ける意味が…と考えるか。
信じるものに従うなら、今の命は諦める…と考えるか。
 
 
両親も、衰弱する子供を見てて辛かっただろうけど。
助ける技術を持ちながら、黙って見てた医師も辛かっただろう。
 
その反面、同じ職場の奥さんはクールだ。
 
 
ミイ「親の許可が無きゃ『何も出来ない』じゃなくて、『何もしなくて良い』なのよ」
 
 
ある意味、ビジネスライクな考え。
いちいち感情移入していたら、やっていけない。
 
しかし、医師は人として苦しんでいる。
 
 
 
医師「また、痛み止めと吸引だけになる」
 
Tem「延命のリスクと、結末の話をして?」
 
医師「して…です。それで良いって…」
 
Tem「じゃあ、それをやるしか無いね」
 
医師「半年と保たないのに?」
 
 
 
八つ当たりされてるのは分かってるけど。
聞くだけ聞いて、泣くだけ泣かす。
 
 
 
Tem「両親の許可が無いなら何も出来ない」
 
医師「確かに、出来ない。確実に助けられるって言い切れるのに…」
 
Tem「ミイさんと同じ事言うけど『出来ない』じゃなくて『しなくて良い』」
 
医師「医療上はしなくて良いだけど、助けられる者を助けないのは辛い」
 
Tem「切捨てられないのは、優しい反面、甘い」
 
医師「そこを切り捨てるような医者にはなりたくない」
 
Tem「医師は、その子の親ではない」
 
医師「年端も行かない子が宗教を理解してるとは思わない」
 
Tem「でも、年端も行かないからこそ、両親の考えがすべてかも知れない」
 
医師「その両親の考えでは、助けられない」
 
Tem「助けたい気持ちは分かるけど、信念を曲げて生きる意味は?」
 
医師「自己満足なのは分かってる」
 
 
 
電話口で、堂々巡りな話になる。
2m弱の大男が、泣き喚く。
 
その子も辛い。
その子の両親も辛い。
その子を見る医師も辛い。
 
 
 
結局、堂々巡りのまま電話を切る。
 
 
 
医師が助けたいと思うのと同じで。
両親は信仰に従っているんだから。
 
 
どっちも死なせたい訳じゃないのに、噛み合わない。
 
 
 
神様なんて、どこの誰だか知らないけど。
人の友人を悲しませるようなモノを、信じる気にはならない。
 
ただ、親身になって考える医師が、これ以上、心を痛めないのを祈るばかり。
 
 
 
……その「神様」とやら、以外に。
 
 
■ 存在
神様って存在はあるだろうけど。
名前が何かは知らない。
 
世界中で色んな名前で呼ばれてて。
教えも、内容も違うけど。
 
それはあるんだろうな、と信じられる。
 
 
けど、結局は人ヅテに伝わった内容は、伝言ゲームと同じ。
 
 
神様の言葉を口にしているのは、人間。
神様の言葉を残しているのも、人間。
 
 
 
……悪いが、どこの誰だか知らない人が言う、神様の言葉は信用出来ない。
 
 
 
知らない人の言葉。
信用出来ない人の言葉。
 
 
■ 皮肉
信じる気持ちを否定しない。
それで救われる人もいる。
 
 
ただ、信じてない人に苦痛を与えるなら。
押し売りのようだ。
 
 
 
……随分と、許容の狭いモノが、人間を説いて導いてるんだな。
 
 
■ さらに
ここ数年。
医療業界は忙しく。
 
あってはいけない失態や。
あってはいけない過失。
 
 
患者が知識を持って来たのは良い事だけど。
鵜呑み/丸呑みで、医師の話を聞かなくなっては本末転倒。
 
それだけ医療業界は信用を失ってしまったのか。
でも、真面目に真摯に向き合って来た人まで、それに巻き込まれている。
 
 
盲腸で死んでいた昔。
それからの進歩や、医師/研究者達の努力は置き去りで。
 
ミス/失態が大きく取り上げられている。
命を取り扱うものだから、あってはいけない。
 
感冒/風邪/疾患…区別の付かない医師も居る。
進んだ医療のせいで出た病気。
病院の体制や政治的な被害者。
 
 
頭に来る事もあるけど。
 
 
 
1人の患者の事で、泣いて喚いて、悔しがってる医師も居る。
 
 
 
そういう人を見逃さないで欲しい。
当然と思わないで欲しい。
 
 
■ 反日デモ
個人的な意見だが。
 
日本にも責任がある。
怒るのには理由がある。
 
でも、その人達に酷い事をしたのは。
従軍慰安婦や事件を起こしたのは。
 
 
その日本の企業じゃない。
まして、そこで働いている従業員じゃない。
 
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いか。
 
 
怒りを伝える手段と言えど「日本の」と言うだけで、攻撃された人はどう思うだろう。
 
 
自分の国が蹂躙されて怒る人達は。
「日本の」と言うだけで壊された店の人達の。
 
 
気持ちが分からないのだろうか。
 
 
 
……不毛な連鎖を感じる。
 
 
■ 結局
Temは、医療ミスの被害者じゃない。
Temは、特に信じる宗教は無い。
Temは、医者じゃなければ知識も無い。
Temは、日本に攻撃された事も無い。
 
 
他人の話。
 
 
だから、客観的に見て。
 
 
 
信じている人。
信じてない人。
 
怒っている人。
怒られている人。
 
被害を受けた人。
被害を与えた人。
 
 
 
Temの知らない「理由」と「気持ち」がある。
 
 
誰が悪いなんて、言わないし。
誰が悪いなんて、決められない。
 
 
Temはそれを知らない。
無知の知。
知らないって事は知っている。
 
 
だから、判断する事は出来ないし、判断しない。
 
 
専門家でも無い。
自分の目や耳で聞いた事でも無い。
 
 
 
ただ、友人や、知り合いが巻き込まれるのは嫌だ。
 
 
 
自分本位な意見だが。
願うのは、それだけ。
 
 

コメント

Tem

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索