風味
2008年3月6日女は、突然の電話に立ち尽くした。
「嘘…」
日常生活の中に存在するであろう危機。
だが、自分の身に…まして、夫の身に襲い掛かるなど考えたくも無かった。
女の行動は素早かった。
すぐにソファから立ち上がると、するべき行動を書き出す。
メモを握り締め、リビングから下階に繋がる階段に踊り出た。
しかし、そこで立ち止まる。
なぜ、夫は前もって自分に電話してきたのか…を。
事態は最悪だった。
散々に怖い目に合い、それを夫に話したばかりだった。
しかも、夫はそんな妻の恐怖心を分かってか、すぐに対策を取ったくらいだ。
そう、対策は取ったのに!!!
貴重な休日に早起きし、夫は一人出かけた。
辛い目にも会っただろうに、にこやかに妻に報告したのだ。
打てる手は打った…と。
その時打てる最良の対策を、確実に、しかも素早くとったというのに。
予想していたものとは違う敵が襲ってきた。
いや、一般的には、こちらの方が有名かも知れない。
ただ夫婦が危惧していた危機では無かった。
完全に見逃していた。聞き逃していた。
ストレートパンチを警戒し過ぎていて、ボディがガラ空きだった状態だ。
そんな隙だらけのボディに痛恨の一撃を食らってしまった。
夫はなす術も無く、倒れた。
しかし、今は、そんな過去の事を悔いている場合では無い。
夫が帰宅する前に、準備しなくてはいけないものがたくさんある。
そう、準備をする為、夫は妻である女の身を守る為に、連絡をして来たのだ。
夫と離れる事は辛かったが、今は仕方が無い。
隔離の用意をする為、3階の寝室へ走り防護服を身に纏った。
そして、以前ほど利用しなくなったコンビニに走り、スポーツ飲料を買う。
必要になるかも知れない…と、ゼリーやフルーチェもカゴに入れる。
金額とかは深く考えない。
必要なければ、それで良い。
普段、コンビニでは 1つか 2つ位の商品しか買わない。
だが、この時ばかりは、カゴがいっぱいになり、レジで店員が戸惑う程の品数を買った。
女の弱点 (新商品) もあったのだ。
しかし、今は自分の弱点にかまけている場合では無い。
素直に敗北し、新商品のビーノスティックをカゴに詰め込む。
自分のダメージより、夫のダメージを回復する手段を講じなくてはならない。
時間は無い。
刻一刻と帰宅の時は迫る。
それまでに自分も帰宅し、暖房に加湿器、冷えピタや体温計を用意しなくてはならない。
敵は容赦なく襲い掛かるだろう。
対策は迅速に的確にしなくてはならない。
そう、女を襲った危機、それは……。
……将軍 (夫) が、インフルエンザにかかりました。
ワシ、妊婦で薬飲めないのに〜。
ちょい前に、風疹抗体が無いって危険性の話をしたばかりなのに〜。
将軍も予防接種受けてきたのに〜。
とりあえず、加湿器をトシさんの部屋に持ち込み「将軍隔離部屋」としました。
集中治療室。(ICU)
「嘘…」
日常生活の中に存在するであろう危機。
だが、自分の身に…まして、夫の身に襲い掛かるなど考えたくも無かった。
女の行動は素早かった。
すぐにソファから立ち上がると、するべき行動を書き出す。
メモを握り締め、リビングから下階に繋がる階段に踊り出た。
しかし、そこで立ち止まる。
なぜ、夫は前もって自分に電話してきたのか…を。
事態は最悪だった。
散々に怖い目に合い、それを夫に話したばかりだった。
しかも、夫はそんな妻の恐怖心を分かってか、すぐに対策を取ったくらいだ。
そう、対策は取ったのに!!!
貴重な休日に早起きし、夫は一人出かけた。
辛い目にも会っただろうに、にこやかに妻に報告したのだ。
打てる手は打った…と。
その時打てる最良の対策を、確実に、しかも素早くとったというのに。
予想していたものとは違う敵が襲ってきた。
いや、一般的には、こちらの方が有名かも知れない。
ただ夫婦が危惧していた危機では無かった。
完全に見逃していた。聞き逃していた。
ストレートパンチを警戒し過ぎていて、ボディがガラ空きだった状態だ。
そんな隙だらけのボディに痛恨の一撃を食らってしまった。
夫はなす術も無く、倒れた。
しかし、今は、そんな過去の事を悔いている場合では無い。
夫が帰宅する前に、準備しなくてはいけないものがたくさんある。
そう、準備をする為、夫は妻である女の身を守る為に、連絡をして来たのだ。
夫と離れる事は辛かったが、今は仕方が無い。
隔離の用意をする為、3階の寝室へ走り防護服を身に纏った。
そして、以前ほど利用しなくなったコンビニに走り、スポーツ飲料を買う。
必要になるかも知れない…と、ゼリーやフルーチェもカゴに入れる。
金額とかは深く考えない。
必要なければ、それで良い。
普段、コンビニでは 1つか 2つ位の商品しか買わない。
だが、この時ばかりは、カゴがいっぱいになり、レジで店員が戸惑う程の品数を買った。
女の弱点 (新商品) もあったのだ。
しかし、今は自分の弱点にかまけている場合では無い。
素直に敗北し、新商品のビーノスティックをカゴに詰め込む。
自分のダメージより、夫のダメージを回復する手段を講じなくてはならない。
時間は無い。
刻一刻と帰宅の時は迫る。
それまでに自分も帰宅し、暖房に加湿器、冷えピタや体温計を用意しなくてはならない。
敵は容赦なく襲い掛かるだろう。
対策は迅速に的確にしなくてはならない。
そう、女を襲った危機、それは……。
……将軍 (夫) が、インフルエンザにかかりました。
ワシ、妊婦で薬飲めないのに〜。
ちょい前に、風疹抗体が無いって危険性の話をしたばかりなのに〜。
将軍も予防接種受けてきたのに〜。
とりあえず、加湿器をトシさんの部屋に持ち込み「将軍隔離部屋」としました。
集中治療室。(ICU)
コメント